デリバティブとは
デリバティブとは先物金融派生商品ともいい、金融取引上で発生する権利などを売り買いする金融商品のことです。デリバティブとは、「派生したもの」という意味です。リスクのヘッジと収益を目的として、通貨、金利、債権、株式を対象として「先渡し」「先物」「オプション」「スワップ」などの取引を行います。
主な利用者は企業や、銀行、証券ですが、最近では郵便貯金や簡易保険(つまり日本政府)も利用しつつあります。欧州やアジア諸国では、日本銀行にあたる中央銀行もデリバティブ・ビジネスを行なっています。
なぜ企業や金融機関はデリバティブ・ビジネスを行なっているのでしょうか。銀行などの大手の機関投資家は何兆円も証券を持っていますから、株価が下がった場合のリスクを先物取引でヘッジして、リスクをできるだけ少なくするという目的があります。
また、金利のスワップ(たとえば固定金利と変動金利の交換)によって、企業は資金の調達コストを安定させたり切り下げたりする「スワップ取引」ができます。
デリバティブの仕組み
デリバティブは売り買いが必ず同数で、マーケットで出合って初めて取引が成り立ちます。売っている人がいるということは、買っている人がいるということです。それを「ゼロサム・ゲーム」といいます。これは麻雀と同じで、勝ちと負けとを足すとゼロになります。
麻雀屋の場代を除けば、「誰かの勝ち」は「誰かの負け」になって、これがゼロサム・ゲームです。ゼロサム・ゲームの儲けのほうを無視して、負けたほうばかりを強調するのはフェアではないでしょう。
負けた場合、預けた証拠金比べれば、金額が大きいように思えます。しかし損をした人がいれば、必ず同額を儲けた人が、どこかで黙ってニコニコしているはずです。
また、どちらも損をせずに、関係者がみんな得をするデリバテイブもあります。だからこそ、世界のデリバテイブ取引は急激に伸びているのです。
先渡し取引
「先渡し取引」は、取引所のような公的な機関が仲立ちをしません。あくまでも取引するもの同士の約束に基づいて行なわれます。
いわゆる「相対取引」です。したがって、取引上の制約は緩やかで、さまざまな組合わせの取引が可能です。
なお、商品取引で「延べ取引」といっているのは、この「先渡し取引」と本質的には異なりません。
これに対して「先物取引」は、証券・商品取引所などが用意した商品の商品価格が対象となります。取引行為自体も取引所が仲介して行なわれます。したがって、商品の種類が限定されるのはやむを得ません。
スワップ
代表的なものとしては、同一通貨の金利を交換する「金利スワップ」と、異種の通貨を金利ごと交換する「通貨スワップ」があり、銀行。証券会社が中心になって行なわれます。
「銀行・証券会社対事業会社」のケースが一般的ですが、「事業会社対事業会社」の形も不可能ではありません。その性格上、公的な機関を仲介しない相対取引の形になります
オプション
対象商品の売買の「権利」を売り買いするという取引手法のオプションは、デリバティブの中では、スワップとともに最も活用範囲の広い手法です。
取引所が仲介する「既製品」のほかに、さまざまな種類の商品がつくり出せます。現在、わが国で取引所に上場されているものには、日本円短期金利先物、債券先物、株価指数、商品先物を対象とした各オプションがあります。
以上、四つの商品は、それぞれ微妙に性格が違っていますが、いずれも「将来の特定の時点の商品価格を予測し、それを現在時点で確定して取引する」という点では共通しています。